エッセンシャル・デジタルマーケティング

デジタルマーケティング戦略の作り方

よくわからない横文字があなたの会社のデジタルを駄目にしているのかもしれない

デジタルマーケティング業界ってやたらと単語が多いですよね。「御社のSEMのKPIはCPAとROIとROASのどれですか?」「あー、日時ではCTRとCPA見てて、月次ではARPPUとARPU、後クオーターで30daysLTV見てROI出してます」みたいな会話は普通にあります。

ところで、私は問いたい。

 

みんなそんなにちゃんと理解しているのか?と。

 

私も新卒は外資系企業で、部署もGBOの中のSMBの中のSBSにいたので、割と耐性がありますけど、それでも時々、よくわからない単語というのは出てきます。

この前「EFOってどうされてますか?」と聞かれて「あー、今はちょっと手を伸ばせてないんですよね」といかにもそれは検討しました感を出して答えたんですが、あとでググったところ「エントリーフォーム最適化(Entry Form Optimization)」でした。

知らなかった……。

 

こういうことは、結構あります。

そういう時に「ちょっとそれどういう意味ですか?」とは聞きづらい。この業界がそれなりに長い僕でもそうなので、新しく担当になった方とかだと、余計そうじゃないでしょうか。

特に、「広告は運用代理店に任せている」「分析は担当者に一任」というようなケースだと、意外と知らなかったり、間違って理解している単語があるかもしれません。

「CPA(コンバージョン単価)」を普段、我々は当たり前の知識のように言っているけど、普段運用をしないような事業者の方がその意味をきちんと肌感的に理解されているでしょうか(例えばCTR(クリック率)が1%落ちるということがどれくらいのインパクトなのか、とか)。

CPAは費用÷コンバージョン数だよね、ということまではわかっていても、「コンバージョンと一口で言っても単価の違いがあるよね」「継続率の違いがあるよね」「CPAが多少上がってもコンバージョンを増やしたほうがいいケースもあるよね」といった、ある程度暗黙の了解になっている部分は全く語られていないはずです。

そういった語られざる部分が、略語にした時に、抜け落ちてしまうのではないでしょうか。

ちょっとずれるけど、「働き方改革」とか「女性活躍」みたいなスローガンも似たようなところがありますよね。

 

専門家が語らないこと

時々クライアントと代理店のミーティングに同席することもあるのですが、当たり前のように横文字を使われると、あまり知識のないクライアント側が黙ってしまうことも少なくありません。

詳しい人はどうしても「これはわかっているだろう」という前提で進めてしまうがゆえに、基礎的な部分についてはおざなりになりがちなんですよね。

単語が通じていれば、反論したり質問したり出来ても、単語自体がわからないと「よくわからないから任せておこう」となってしまうのも当然でしょう。

説明するのがめんどくさい部分を、横文字の短縮言葉にすることで、なんとなくごまかしている、という側面はないでしょうか。

逆に言うと、単語さえ使っていればなんとなく中身のあることが話せているような感じが出てしまう、という風潮があります。

「エンゲージメント率が上がった」とか「CPAが下がった」と言った時、結局それが大枠のマーケティングの中でどういう意味を持つのか、という点について、どの程度合意ができているのか、ということです。

本を書いてみて思ったこと

本を書いてみてわかったことなんですが、いわゆる業界の単語を使わずにきちんとマーケティングについて説明しようとすると、結構大変です。

独自の単語や略称というのは「わかった感」を醸成させるのに重要なのですが、本質的にお互いの理解が進んでいるかと言うと微妙なところがあって、特にこの点はクライアントとエージェンシー(広告代理店・運用代理店)・コンサルタントとの間で顕著なのではないでしょうか。

少なくとも、デジタルを主戦場にする方々が安易に使っている単語が本当にクライアント側でも理解できているのか?ということを問いかけていかない限り、本質的な意味で協業というのが難しいのではないか、と考えている昨今です。

そういう意味では、翻訳作業と言うか、噛み砕いてお互いに肌感を合わせていく作業というのが結構重要なのかな、でもそれすごい難しいな、と感じる今日このごろです。

余談

あえていいますけど、難解な用語を使いまくるから門外漢には凄そうに見えていても、その道の人から見たら大したことを言っていない、という人は結構どの分野でもいるんじゃないでしょうか。

わかりやすすぎるとなんか凄そうに見えない、みたいな。逆もあるんでしょうけどね。